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各弁護士の責任で回答しており、医療問題弁護団全体の見解とは必ずしも一致しないことがあります
記載日:06/06/29

Q6 医療裁判の現状

マスコミでは、毎日のように医療裁判の報道がありますが、全体としてはどのような傾向があるのでしょうか。教えてください。
回答者:大森 夏織

1 日本の医療裁判の現状

 医療裁判とは、患者さんが病院や医師の医療ミスを問う民事裁判ですが、ここ数年の特徴は3つあります。

 1つは、医療裁判の数がどんどん増えていること。2004年には1年間に全国で1000件を超える新しい医療裁判が起こされました。2005年には999件とやや減りましたが、いずれにしてもここ10年間で倍増以上の伸びです。2005年まだ裁判中の事件もあわせると、日本全国の裁判所で、2000件超の医療裁判が審理されています。
* 最高裁判所のホームページ
司法統計の詳細検索条件指定画面で「医療」をキーワードとしてフリーワード検索すると、医療過誤事件の提訴数等様々な事件数が表示されます。
http://www.courts.go.jp/search/jtsp0020?action_id=first


 2つめの特徴は、裁判期間が短くなったことです。医療訴訟が「5年裁判10年裁判は当たり前」のように言われていた時代もありましたが、2005年の「第1審」、つまり地方裁判所レベルでの、訴えを起こして終わるまでの裁判期間は全国平均で2年2ヶ月程度です。
 東京や大阪など大都市では、「医療集中部」と呼ばれる、医療事件を扱う裁判官が限定されるシステムにより裁判官が医療裁判に熟練していることもあって、多くの場合、2年もかからず終わります。

 3つめの特徴は、裁判に対する医師の関与のしかたが多様になったことです。裁判所から選任された医師が鑑定意見を述べる「鑑定人」に加え、裁判の早い段階で、その事件の争点がどこにあるかを裁判官が考えるのを助力するため任命される、医師「専門委員」制度も創られました。これら鑑定人や専門委員に、公正で適切な医師が選任されるよう、監視していくことが必要です。また、患者側で証言したり意見書を書いてくれる医師の数も、以前に比べれば増えています。 

 ちなみに、医療裁判は和解で終了するものが5割、判決となるのが約4割ですが、判決の場合、患者側の勝訴率は4割弱で、まだまだ普通の民事裁判に比べて、難しい訴訟であることに変わりはありません。
 このような現状から、いったん医療裁判を起こすと短期間で決着がつき、審理が専門的になっていて、しかもまだまだ患者側は勝ちにくい、という実態がおわかりだと思います。
 したがって、医療裁判を起こす前に、ミスはどこにあるのか、患者さんの被害はミスとどのように結びついているのか、など事件をよくよく吟味検討して裁判に臨むことが、ますます重要になってくるのです。