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プレスリリース

日付 :2019年5月
2019年5月27日

「新宿セントラルクリニック」(林道也医師)
性病詐欺事件 追加訴訟(第三次)に関する判決のご報告

医療問題弁護団 新宿セントラルクリニック対策班
弁護士 大森 夏織  弁護士 松井 菜採
弁護士 三枝 恵真  弁護士 松田 耕平
弁護士 服部 功志  弁護士 佐藤 省吾

医療問題弁護団の新宿セントラルクリニック対策班は、「新宿セントラルクリニック」を開設する林道也医師の行った性感染症詐欺事件について、被害を受けた患者さん達の被害救済や同種被害の再発防止のための活動を続けてまいりました。

2019年3月1日、追加提訴3名の訴訟について、東京地方裁判所民亊第34部で勝訴判決が言い渡されましたので、ご報告致します。

本件では、原告らが診療行為を受けた後、個人クリニックから医療法人へ法人成りしており、追加提訴では医療法人に対しても損害賠償請求をしておりました。本判決では、法人格否認の法理の適用を認め、医療法人の責任も認めました(詳細は、下記第2・3)。


第1 事案の概要

被告林道也医師の開設する新宿セントラルクリニック(東京都新宿区新宿3丁目11番11号ダイアンビル9階)で性感染症検査を受けた患者に対し、(1)医学的必要性のない血清クラミジア抗体検査が必要であると告げてその旨誤信させ、また、(2)同検査の基準値が「0.90」であるところを、検査結果用紙に同値を「0.00」と改変して記載することにより陽性の検査結果であるように装い、性器クラミジア感染症に罹患している旨の虚偽の診断を告げて治療が必要である旨誤信させ、不必要な抗菌剤投与を行うことによって、被害者から治療費相当額の金員を詐取した事案。

被告は、本人尋問において数千人に対して同じやり方で診断治療を行っていたと供述しており被害は多数に及んでいる可能性は高く、また現在も被告クリニックが診療を継続しているため今なお被害は発生し続けているものと思われる。


第2 判決内容 -主な争点に対する判断とその理由

1 故意に虚偽の診断を行ったか

(1) 「被告林は、原告Aに対し、性器クラミジア感染症の診断及び治療判定において有用性に乏しい抗体検査を繰り返し実施した上、カットオフインデックスを「0.00」に改変した独自の検査結果報告書を示しながら、性器クラミジア感染症に罹患している(治癒していない)旨の虚偽の説明をして、原告Aが被告林による診療行為に疑問を抱き自ら受診を中止するまで、治療及び薬剤の処方等を継続したものであり、このような行為が当時の医療水準に照らして著しく不合理であることは明らかである。」
(2) 「被告林は、当初から故意に医学的正当性のない不合理な診断をして不必要な診療行為を行い,原告Aから治療費等の支払を受けたものといわざるを得ず、これら一連の診療行為については詐欺の不法行為が成立するというべきである。」
⇒ 明確に故意による詐欺行為を認定し、原告各自に対し、通院期間の長さに応じて20~70万円の慰謝料を認めた。

2 カルテの全部開示請求を拒否したことが違法か

(1) 「診療録や診療報酬明細書は、患者にとって自身が受けた診療の経過を確認するための重要な客観的資料であるから、医師は、患者が診療録や診療報酬明細書の開示を請求したときは、開示によって当該患者の心身に重大な悪影響を及ぼすなどの特段の事情がない限り、診療録を開示し診療報酬明細書の開示に同意する義務を負っており、これに違反した場合には不法行為が成立する。」
(2) 「被告林は、訴訟等において自己の責任追及に利用されることを防止する目的で、一律に診療録の開示を拒否し、診療報酬明細書の開示に同意しなかったものと推認されるところ、このような事情は蒸気の特段の事情には該当しない。」
⇒ 原告各自に10万円の慰謝料支払いを命じる

3 法人格否認の法理の適用の可否

(1) 「被告林は、被告クリニックの患者から別件同種訴訟と同様の訴訟が多数提起されて敗訴し、被告クリニックの診療報酬債権等に対し強制執行が行われることを想定し、これを免れようという不当な目的をもって自らが支配していた被告クリニックを法人成りさせて被告法人を設立したものと推認するのが相当である。」
(2) 「また、被告林は、法人格否認の法理の適用の可否に関する事実(被告法人の設立経緯・経営実態、新クリニックの診療実態や被告林の経済状況)に関し、これを否定する書証を提出したり本人尋問において説明したりしないばかりか、反対尋問においては正当事由がないにもかかわらず極めて顕著な供述拒否の態度を貫いたものである。このような事実認定及び弁論の全趣旨に民事訴訟法208条の趣旨を総合考慮すれば、本件においては、被告法人について法人格否認の法理を適用するのが相当であるから、被告法人は、信義則上、被告林と別個の法人格であることを主張できないというべきである。」
⇒ 強制執行を免れる目的で個人クリニックから医療法人へ法人成りさせて財産を移動させた場合に、法人格否認の法理を適用した。
★また、法廷での証言拒否の場合に、民訴法208条(真実擬制)の趣旨を考慮して、原告側の主張(法人格否認)を認めた判決は、おそらく本件が初と思われる。

第3 先行訴訟・行政処分・刑事処分等の進捗状況

1 先行訴訟の状況

以下のとおり被告林道也医師の詐欺行為を認める判決が3件確定しておりますが、被害者らに対する賠償金の支払いは未だなされていません。
(1) A氏の件(本人訴訟)
第一審 平成26年(ワ)6227号
 平成27年3月4日判決(請求認容)
控訴審 平成27年(ネ)1657号
 平成27年9月9日判決(原審と同じ結論)
最高裁 平成27年(オ)1765号、平成27年(受)2207号
 平成28年2月2日決定 上告棄却、上告不受理決定

(2) B氏の件(当弁護団が原告訴訟代理人)
第一審 平成26年(ワ)24230号
 平成27年8月19日判決(請求認容)
控訴審 平成27年(ネ)第4678号
 平成27年12月24日判決(原審と同じ結論)
最高裁 平成28年(オ)500号、平成28年(受)631号
 平成28年6月2日決定 上告棄却、上告不受理決定

(3) C氏の件(当弁護団が原告訴訟代理人)
第一審 平成27年(ワ)1451号
 平成28年4月11日判決(請求認容)
控訴審 平成28年(ネ)第2437号
 平成28年8月10日判決(原審と同じ結論)
最高裁 平成28年(オ)1654号、平成28年(受)2092号
 平成29年1月19日決定 上告棄却、上告不受理決定

2 行政処分

当弁護団は、平成26年5月29日、新宿区保健所、東京都福祉保健局医療政策部医療安全課、東京都福祉保健局指導監査部指導第3係、関東信越厚生局(東京事務所)の計4カ所に、医療法や各医療保険法上の立ち入り検査、医療監査指導などを要請。

その後、関東信越厚生局長は、1年10カ月の間に計12日間の監査を実施した上、平成30年3月14日、以下の2つの行政処分を決定した。

(1) 新宿セントラルクリニックに対する保険医療機関の指定の取消処分

(2) 林道也医師に対する保険医の登録の取消処分


3 刑事処分

(1) 告訴(詐欺罪)
平成28年5月18日13時に警視庁四谷警察署に告訴状提出(告訴人4名)

(2) 強制捜査
平成29年1月17日 林道也医師を詐欺容疑で逮捕

(3) 第一審

事件番号 平成29年刑(わ)197号、同第396号、同第594号、同第900号、同第1327号
担当部 東京地方裁判所刑事第1部
判決 平成30年9月14日
主文 懲役2年6月(執行猶予4年)
理由 ○ 被告人は医師という立場にありながら、6名の患者に対し、性器クラミジア感染症の治療薬を処方して販売する必要性がないのにこれがあるように偽り、さらに、国民健康保険の保険者4機関に対し、必要がない前記治療薬を必要に基づいて処方して販売したように偽り、治療薬の代金や診療報酬名目で金員を詐取した。
○ 犯行態様は、自己の有する専門的知識を悪用し、社会的にも高い信頼を寄せられる立場にあることに乗じ、患者によっては約1年にわたり必要のない治療薬の処方を繰り返してその代金を詐取し続けるなど、常習的かつ職業的で狡猾な手段によるものである。被害者数も少なくはない。本件各犯行に関する事情は悪質である。
※ 被告人林道也が控訴し、現在東京高裁に係属中


   

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