医療問題弁護団とは?

  • 代表者プロフィール
  • 医療問題弁護団の概要
  • 最近の活動
  • 提供するサービス
  • 医療的専門知識の習得
  • 弁護団による集団的検討のシステム
  • 苦情解決システム
  • 入団を希望される弁護士の方へ

団員解決事件

  • 団員解決事件一覧

相談から訴訟等までの流れ

  • 相談
  • 調査活動
  • 訴訟等
  • 費用
  • 相談票ダウンロード

医療事故Q&A

  • 1.医療ミスを疑ったら
  • 2.法律相談準備 - 弁護士に相談するにあたって
  • 3.調査とは
  • 4.専門家(医師)の協力
  • 5.医療機関による説明(説明会)
  • 6.責任追及について
  • 7.医療裁判の流れ
  • 8.費用について
  • 9.医療裁判の現状

弁護士の声(団員リレーエッセイ)

プレスリリース

医療過誤判例集

各地相談窓口連絡先

各種資料

リンク

個人情報の取扱いについて

医療問題弁護団

プレスリリース

日付 :2014年04月

美容医療に関するインフォームド・コンセントの実現、安全性確保
及び不当表示の防止のための要望書


品川美容外科糸リフト被害対策弁護団が,美容医療に関するインフォームド・コンセントの実現、安全性確保及び不当表示の防止のために,厚生労働省と消費者庁に要望書を提出しました。


要 望 書

平成26年4月23日

厚生労働大臣 田村憲久 殿
消費者庁 内閣府特命担当大臣 森まさこ 殿

品川美容外科糸リフト被害対策弁護団
団 長 弁護士  三 枝 恵 真
(連絡先)
〒160-0022
東京都新宿区新宿1-15-9 さわだビル5階 
東京共同法律事務所
電話 03-3341-3133 FAX 03-3355-0445
事務局長弁護士  花  垣  存  彦 

美容医療に関するインフォームド・コンセントの実現、安全性確保及び不当表示の防止のために下記事項の実現を要望いたします。

第1 要望の趣旨

1 美容医療に関するインフォームド・コンセント 実現にむけた整備

厚労省は、「美容医療サービス等の自由診療におけるインフォームド・コンセント※1の取扱い等について」(平成25年9月27日付け医政局発0927第1号。以下、「通達」という)の内容に加え、以下の内容等を盛り込んだ指針等を整備し、周知を図っていただきたい。

※1 インフォームド・コンセントとは、患者が医療行為を受けるにあたって、医師より当該医療行為を受けるか否かの判断をするために適切かつ十分な説明を受けた上で、患者が、医師と当該医療行為を受けることの合意をなすべきことを言う。

(1) インフォームド・コンセントのための説明義務の徹底(通達3項関連)
美容医療における施術内容の有効性および安全性に係る説明においては、「実施予定の施術の内容、施術に付随する危険性や合併症、他に選択可能な施術方法があればその内容と利害得失、予後等について記載した説明書面を事前に交付し、同書面に基づいて丁寧に説明するべきである。」とするべきである。

(2) 熟考の機会の確保(即日施術の原則禁止)(通達4項関連)
美容医療は、生命身体に対する緊急性・必要性の高い場合が考えにくく、ほとんどが即日施術の必要性のないものであるから、「原則として即日施術はせず、患者に対して十分な熟考期間を与えるべきである。」とするべきである。

2 健康被害等に対する対策

厚労省は、健康被害等に関する情報を把握した場合の対応について、保健所による立ち入り検査を含めた具体的対応策を各都道府県、保健所設置市及び特別区に周知していただきたい。

3 不当表示に関する告示・ガイドラインの整備

消費者庁は、美容医療機関を対象として「不当景品類及び不当表示防止法」(以下「景表法」という)上の不当表示に関する告示・ガイドラインの整備を速やかに実行すべきである。

4 景表法上の不当表示に対する迅速かつ適切な対応

消費者庁は、美容医療に関する景表法上の不当表示に対し、消費者被害を多発させている問題事例を速やかに調査・把握し、迅速かつ適切な措置命令の執行を積極的に推進すべきである。

第2 要望の理由

1 美容医療に関する被害実態と関係各機関の取組み

(1) 近年の美容、健康や癒しに対する意識の高まり等を背景として、美容医療に関するトラブル例も増加しており、全国の消費生活総合センターには多くの相談が寄せられている(平成22年7月7日付け、平成24年6月21日付け独立行政法人国民生活センター報道発表資料等)。近年の傾向として、美容医療の契約問題だけではなく施術によって危害を受けたとの相談が増加しており※2 、PIO-NETに寄せられた美容医療の相談のうち、「危害」に関する相談の2008年から2013年までの合計は1857件(資料1)である。

(2) そのような中、内閣府消費者委員会は、平成23年12月21日、「エステ・美容医療サービスに関する消費者問題についての建議」を行った。この中で、被害実態調査を踏まえて、消費者庁・厚生労働省・都道府県の関係各機関に対して、①健康被害等に関する情報の提供と的確な対応、②エステ等を利用する消費者の安全確保のための措置、③不適切な表示(広告)の取締りの徹底、④美容医療サービスを利用する消費者への説明責任の徹底、という4項目の具体的施策を求めた。
その後、消費者庁では、平成25年4月16日に「美容医療サービスを受けるにあたっての確認ポイント ~美しくなるはずが、予想外の腫れ・痛みに~ 」を公表、患者に対して施術を決める前にリスクや施術効果についての説明を求めるよう注意喚起している。

(3) 厚労省は、「診療情報の提供等に関する指針の策定について」(平成15年9月12日付け医政発0912001号厚生労働省医政局通知)を定め、インフォームド・コンセントの理念に基づく医療を推進するための指針を定めた。
しかしながら、同指針策定後も、美容医療サービス等の自由診療では、患者の理解と同意が十分に得られていないことに起因すると考えられるトラブルが生じていることを踏まえ、平成25年9月27日、「美容医療サービス等の自由診療におけるインフォームド・コンセントの取扱い等について」(通達)により、美容医療サービス等の自由診療におけるインフォームド・コンセントに関してとくに留意すべき事項を定めた。

(4) このような施策実施後も、現在に至るまで、美容医療における施術内容や危険性についての説明不足が原因と考えられるトラブルは後を絶たない状況にある。
PIO-NETに寄せられた2013年度の美容医療に関する相談は1,263件であり、同年のみならず2008年以降全ての年度で「説明不足」が最多の相談内容である(資料1)。

※2 国民生活センターが、平成24年1月23日~27日に「美容医療・契約トラブル110番」を実施したところ、美容医療サービスに関する危害相談は相談全体93件中42件で、半数近くを占めている(平成24年6月21日付け報道発表資料)。
2 いわゆる「糸によるフェイスリフト」術における被害実態と弁護団結成

(1) 美容医療に関する健康被害が増加している実態を受け、医療問題弁護団※3が平成25年10月12日に「美容医療ホットライン」を実施したところ、1日で74件の美容医療に関する相談が寄せられ、中でもいわゆる「糸によるフェイスリフト」等と言われるスレッドリフト術※4に関する相談が多く寄せられた(資料2)。同様の被害は、全国の消費者生活センターにも多く寄せられ、最近では報道でも取り上げられている(資料3)。

※3 東京を中心とする250名余りの弁護士を団員に擁し、医療事故被害者の救済、医療事故の再発防止のための諸活動を行うことを通じて、患者の権利を確立し、かつ安全で良質な医療を実現することを目的とする団体。
※4 特殊な糸を顔の皮下組織に挿入し、糸に付いた折り返しやコーンの皮下組織に対する引っ掛かりによって顔の皮膚の弛みの引き上げを図る施術である。糸には吸収糸と非吸収糸があるが、本件訴訟の原告らが受けた施術は、いずれも吸収糸を使用している。

(2) 「糸によるフェイスリフト」に関する相談のうち、医療法人社団翔友会が開設する品川美容外科・品川スキンクリニックに対する被害相談が集中したため、医療問題弁護団の弁護士有志15名が「品川美容外科糸リフト被害対策弁護団」を立ち上げ、糸によるフェイスリフト術を受けて健康被害を生じた患者らの損害賠償請求を含めた被害回復、再発防止に向けた活動を開始した。

(3)  弁護団が調査したところ、品川美容外科・品川スキンクリニックの患者の大半がフリーペーパーや割引券付きのダイレクトメールを受け取ったことを契機にクリニックを受診、医師や職員に強く勧誘をされ、高額クレジット契約を締結した上、即日施術を受けていた。術後、施術の効果がほとんど無かったのみならず、術前に説明のなかった長期間継続する痛みや引き攣れ・瘢痕・脱毛等といった健康被害を生じていたが、このような合併症に対する術前説明はほとんど行われていなかった(資料4)。
そのため、本日、品川美容外科・品川スキンクリニックにおいて糸によるフェイスリフト術を受けて健康被害を生じた患者ら13名は、医療法人社団翔友会を被告として、東京地方裁判所に損害賠償等請求訴訟を提起したとともに、美容医療サービスの安全性向上と被害の再発防止、不当表示の防止を目的として、厚生労働大臣及び内閣府特命担当大臣に宛てて本要望書を提出する次第である。

3 患者が安心して安全な美容医療サービスを受けることが出来るようにするための方策

上記2で述べたように、関係各機関の一定の施策が実施されたにも関わらず、美容医療に関する相談は減少する兆しもなく、とくに糸によるフェイスリフトに関しては、この1年ほどでトラブルが急増、医療機関による強引な勧誘、説明不足に起因する被害は後を絶たない状況にある※5

そこで、糸によるフェイスリフト術を受けて健康被害を受けた被害者である原告らおよび当弁護団は、同様の被害の再発を防止し、患者が安心して安全な美容医療サービスを受けることが出来るようにするため、今回の申入れをする次第である。

※5 吸収糸を使ってほおを上に引き上げ、顔の「たるみ」や「しわ」を取り除く施術(いわゆる「切らないフェイスリフト」)に関する相談が、東京都の消費生活総合センターだけで平成25年4月から平成26年1月までに100件にのぼり、前年度の3倍余りに達している(資料3・NHK報道)。
国民生活センターHPに掲載される「最近の事例」においても、切らないフェイスリフトの事例が複数掲載されている(2014.3.31時点)。

(1) 要望の趣旨1(1)について
患者が自己決定権を行使し、インフォームド・コンセントが出来るために、医師は、患者が医療行為を受けるか否かを決定するために必要な情報を与える説明義務を負う。医療法第1条の4第2項においても、インフォームド・コンセントの努力義務が規定されており、厚生労働省はその実現のために「診療情報の提供等に関する指針」を策定している。
美容医療においては、医学的見地からの必要性及び緊急性が乏しく、患者の審美面の主観的希望を充足させることを主目的としていることから、医師は患者に対し、「実施予定の施術の内容、施術に付随する危険性や合併症、他に選択可能な施術方法があればその内容と利害得失、予後等」について具体的に説明する必要がある。その方法については、口頭で説明するだけではなく、説明書面を事前に交付し、同書面に基づいて丁寧に説明するべきである。

(2)  要望の趣旨1(2)について
(1)で述べたように、美容医療の施術は必要性・緊急性が乏しく、即日施術を行う医学的必要性は基本的に存在しない。
そのため、患者が施術を受けるか否かについては、時間をかけてインフォームド・コンセントすることが可能かつ必要であることから、通常の手術・施術の場合よりも「熟考の機会」が尊重される必要があり、即日施術は原則禁止とすべきである。

(3)  要望の趣旨2について
今般、当弁護団がホットラインや原告らからの聴き取りで判明したところでは、患者らはいわゆる「糸によるフェイスリフト」術を受ける際に、効果の程度や合併症の適切な説明を受けなかったのみならず、施術により健康被害を生じており、早急に医療機関に対する調査、指導が必要である。
そのため、厚生労働省は、健康被害等に関する情報を把握した場合の対応について、保健所による立ち入り検査を含めた具体的対応策を各都道府県、保健所設置市及び特別区に示していただきたい。

(4) 要望の趣旨3について
ア 要請の趣旨第1項は、美容医療機関を対象とする景表法上の不当表示に関する告示・ガイドラインの整備を求めるものである。
イ 上記消費者委員会の実態調査によれば、各地方自治体において、美容医療に対する景表法規制の実施に消極的である理由は、その実施の基準となるべき明確な判断基準が存在しないためであるとの指摘が存在する。そこで消費者庁としては、各自治体に対して積極的な景表法規制の発動を促すために、美容医療を対象とした不当表示の内容を特定する告示・ガイドラインを速やかに策定して明確な判断基準を提供すべきである。

(5) 要請の趣旨4について
ア 要請の趣旨第4項は、美容医療に関する被害事例を速やかに調査・把握し、迅速かつ適切な措置命令の執行を求めるものである。
イ 原告らが糸によるフェイスリフト術を受けた結果、健康被害を生じた事実経過については、上記2(3)及び資料4で記載している通りである。
これらの被害を防止するためには、消費者の判断を誤らせるような勧誘がなされていないかを監視し、そのような勧誘がなされている場合には、一定の規制をすることが、景表法の趣旨目的(1条)に鑑み、必要不可欠である。 よって、診療機関においてなされている勧誘態様(いわゆるセールストーク※6)について実態を調査・把握した上で、迅速かつ適切な措置命令の執行を求める。
なお、消費者委員会の実態調査によると、消費者は、美容医療の施設を選ぶ際には、ホームページから情報を収集していると回答しており(ホームページと回答している者の割合は38%)、今日においては、インターネット上の表示・広告が受診の端緒となっていることは自明のことである。
診療機関のホームページを始めとするインターネット上の表示・広告に対しても、その内容が景表法上の不当表示規制に抵触するものと評価される場合にあっては、迅速かつ適切な措置命令の執行を積極的に推進すべきである。

※6 「口頭による広告」が景表法2条4項の「広告」に含まれることについては、昭和37年6月30日公正取引委員会告示第3号(平成10年、同21年改正)2条2号において明示されている。
以上

【添付資料】

資料1 データでみる「美容医療サービス」に関する消費者トラブル
     (2014.3国民生活センター相談情報部)
資料2 医療問題弁護団 美容医療ホットライン集計
資料3 NHK報道
資料4 訴状骨子



ページトップへ↑