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プレスリリース
日付 :2003年4月24日
木村副大臣解任の要望書
 

【要 約】
司法改革で弁護士の増員が図られていることに対し,「医療をネタに稼いでやろうという非常におかしな人たちがどんどん増えてくる」と発言した木村義雄厚生労働副大臣の解任を求めた。
木村副大臣解任の要望書
内閣総理大臣 小泉純一郎 殿
厚生労働大臣 坂口  力 殿
文部科学大臣 遠山 敦子 殿
法務大臣   森山 真弓 殿

2003年(平成15年)4月24日
医 療 問 題 弁 護 団
代表 弁護士  鈴木利廣
(連絡先)
〒124-0025 東京都葛飾区西新小岩1-7-9
西新小岩ハイツ506
電 話 03-5698-8544
FAX 03-5698-7512


要望書

第1.要望の趣旨

木村義雄厚生労働副大臣の解任を求める。


第2.要望の理由

はじめに

 当弁護団は、医療事故被害者の救済、医療事故の再発防止のための諸活動を行い、これらの活動を通じて患者の権利を確立し、安全で良質な医療を実現することを目的とする弁護士の団体で、東京を中心に約200名の団員弁護士が年間約300件の医療事故相談を受けている。

 1.木村副大臣の発言

 報道によれば、木村副大臣は、本年4月18日開催の厚生労働省・医師臨床研修制度と地域医療に関する懇談会の終わりの挨拶において、大概次のような発言を行ったという。
 「臨床研修をなぜやるかと言えば、司法改革が行われ弁護士がどんどん養成されようとし、アメリカのような医療をネタに稼いでやろうという非常におかしな人たちがどんどん増えてくることが予想され、こういう問題点に対応するには、臨床研修が大変大事で、何かあったらすぐに弁護士に訴えられるような日本の医療にしてはならない。」
 この発言の趣旨は、
  (1)臨床研修には、医療をネタに稼いでやろうという非常におかしな人たち(弁護士)に対応する目的がある
  (2)司法改革で医療をネタに稼いでやろうという非常におかしな人たち(弁護士)がどんどん増えてくることが予想されるというものである。

 2.発言の問題性

(1)医療事故被害の無理解に基づく被害者への攻撃
  1999年1月以来多くの医療過誤事案が報道され、日本の医療現場での医療過誤被害が質・量ともに深刻な事態であることが明らかにされた。
  このような事態をうけて、文部科学省・国立大学医学部病院長会議は、2001年3月「医療事故防止のための安全管理体制の確立に向けて(提言)」(以下「提言」という)を、厚生労働省は、2002年4月17日「医療安全推進総合対策」(以下「対策」という)をとりまとめた。そして、「提言」及び「対策」において、一方で、医療安全向上策として「研修医指導体制の充実」(「提言」)「医療安全に関する教育研修の充実」(「対策」)を、他方で、医療過誤被害への対応として「基本的な考え方としての患者の尊重と医療の責任の全う」(「提言」)「患者の苦情や相談等に対応するための体制の整備」(「対策」)をあげている。
  木村副大臣の今般の発言は、臨床研修体制の不備が医療過誤の一因となっているとの認識を欠落し、医療被害者の立場で被害救済活動に従事する弁護士を敵視し、ひいては、かかる弁護士の援助を求めている医療過誤被害者の行動に対する悪質な攻撃といえる。
  また臨床研修の本来の目的をゆがめ、徒に医療被害者や弁護士に対する偏見をあおることにつながるものである。
  かかる発言は政府内において文部科学省とも協同して医療事故・過誤防止対策を推進している厚生労働省の副大臣としての資質に著しく欠けるものである。

 (2)司法改革への無理解
  現在進行中の司法改革は、「司法制度改革審議会意見〜21世紀の日本を支える司法制度」(2001年6月12日)、「司法制度改革推進法」(2001.11.16制定)に基づいて行われている。
  同法2条(基本理念)には、「司法制度改革は、国民がより容易に利用できるとともに、公正かつ適正な手続きの下、より迅速・適切かつ実効的にその使命を果たすことができる司法制度を構築し、高度の専門的法律知識、幅広い教養、豊かな人間性及び職業倫理を備えた多数の法曹の養成及び確保その他司法制度を支える体制の充実強化を図り、……もってより自由かつ公正な社会の形成に資することを基本として行われるものである。」と規程されている。そして、この理念に基づき司法制度を支える法曹の人的基盤の拡充を図りつつある。
  小泉首相も昨年12月9日開催の司法制度改革推進本部顧問会議において、法曹養成制度改革関連法が同月6日に成立したことをうけて、法曹の質と量の拡充への期待と関係者の努力への敬意を表明した。
  木村副大臣の今般の発言は、法曹の拡充が非常におかしな弁護士を増大させるとの認識を示したもので、弁護士の使命をないがしろにするばかりか、司法改革推進に対する悪質な揶揄である。かかる発言は、政治家、副大臣としての資質に欠けるものであり、司法改革を推進する政府内において到底看過してはならない発言である。

 3.まとめ

 よって、木村副大臣の任免について申出権者である坂口大臣及び任免権者である内閣の代表たる小泉総理に対し、木村義雄厚生労働副大臣の解任を求めるものである。
 なお、臨床研修の担い手である国立大学病院を主管する文部科学大臣及び司法改革を主管する法務大臣に対しても、内閣の一員として木村副大臣の解任を求めるよう要望する。
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