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弁護士の声(団員リレーエッセイ)

産婦人科医の減少問題に初心を思う

弁護士 梶 浦 明 裕

1 産婦人科医の減少・不足の現状

今や産婦人科医不足は社会的な問題であり、最近では産婦人科医の「減少」「不足」を指摘する報道等は枚挙に暇がない。

つい先日の一般紙の朝刊にも、今年度(平成18年度)は、2年間の臨床研修を終えて日本産婦人科学会に入った医師が、これまでより2割以上減ったという記事があった。

産婦人科医が減少していることは紛れもない事実である。

2 原因は医療訴訟か

産婦人科医の減少・不足の原因については、過酷な勤務実態と訴訟率の高さが指摘されている。

確かに、お産は昼夜を問わず緊急の診療行為を求められる。平成16年の北海道大学の調査では、産科医の年間当直回数は平均123回(つまり3日に1回)で、土日祝日の勤務も37回であるという。また、訴訟率は、医師一人当たりの提訴件数でみると、産婦人科は平均の2.5倍程度で全診療科のトップである。以上の数字をみると、弁護士が関わる訴訟率の高さが産婦人科医の減少・不足を招いているとも考えられ、現にその趣旨の論評も存在する。

実際はどうであろうか。

大学(文化系学部)在学中に医師を志し、医学部に再入学して、間近に国家試験を控えた尊敬する友人がいる。彼女が志したのは産婦人科医である。自分自身、そして身内が産婦人科医にお世話になった、お世話になったのが女医であることに非常に安心感を覚えた、自分も同じように役に立ちたい、そういったところが彼女の志望動機である。もちろん彼女の耳にも、上記の激務・高訴訟率の情報は入っているし、周囲に反対意見もあるという。しかし、そうしたことも、産婦人科医を目指した彼女の志の高さには適わないようだ。

3 初心忘るべからず

産婦人科医が減少・不足しているという話を聞く度に、過酷な勤務実態、何よりも訴訟率の高さが頭を過ぎる。

しかし、訴訟率などとは無関係に、産婦人科にやりがいを感じ産婦人科医を志している若い医学生はたくさんいる。正に、そのような初心が今後の産婦人科を支えていくのではないか。そして、そのような若い医学生や医師の初心をサポートする体制こそが必要ではないか。

医師と医療訴訟を扱う患者側弁護士とは真っ向から対立するようにも思える。

しかし、多くの患者側弁護士は、被害を救済することはもちろんのこと、今後の同種の医療事故を防止することによってよりよい医療が実現されることを目指しており、究極の目標は医師と同じであることを願っている。

私自身も、そのような考えに共感し、医療事件を扱いたいと考えた。

医療事件を扱っていると、時に困難に打ち当たり、時に疑問を抱くこともない訳ではないが、初心を強く持ち続け、究極の目標の実現を模索していきたいと思う。

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